暗号資産を巡る規制は急速に進化し続けており、2025年はグローバルなクリプト政策にとって転換点となる年になりそうです。
では、クリプト分野で開発を行う開発者にとってこれは何を意味するのでしょうか?この記事では、世界各国で進む最新の規制動向を整理し、ビジネスや開発者に及ぼす実際の影響を探ります。
カナダ:急速に進化する規制体制
カナダは、注目を集める明確な規制アプローチで先行しています。2025年初頭、カナダ証券管理局(CSA)は全13州・準州で採用される証券市場ルール National Instrument 81-102を改訂し、暗号資産投資ファンドに関する明確な基準とカストディ(保管)要件を示しました。
主な変更点は以下のとおりです:
- カストディ要件: 暗号資産は高基準を満たす「適格カストディアン」によって保管されなければならない。
- 通常はコールドウォレットでの保管が必須(トランザクションで必要な場合を除く)。
- ベストプラクティスとして:
- ウォレットの分離保管
- ブロックチェーンとの整合性チェック
- マルチシグによるセキュリティ強化
- サイバーセキュリティの遵守
- ファンドマネージャーが妥当と判断する保険加入
- 評価方法: 暗号資産の評価には透明性のあるメソッドを適用することが求められる。
- 認可された取引所に上場されている、またはデリバティブ取引の裏付け資産として利用されている暗号資産のみが直接投資可能。
- 投資限度額: 小売投資家向けファンドは、価格変動の大きいトークンへの直接投資が制限される。
- 暗号資産を直接保有できるのは、オルタナティブ投資信託および解約不可ファンドのみが直接暗号資産を保有できる。
- 通常の投資信託は、暗号資産デリバティブの保有を純資産価値(NAV)の10%までに制限される。
同時に、カナダ金融機関監督局(OSFI)も、 バーゼル・フレームワークに準拠した新たな資産分類基準を導入:
- グループ1 - トークン化された伝統的な資産 (例:トークン化された債券や法定通貨担保型ステーブルコイン)
- グループ2 - 価格変動の大きい暗号資産 (ビットコインやイーサリアムなど)
このような透明性の高いルールの整備により、カナダは制度的不確実性を大きく取り除き、暗号資産を伝統的な金融システムに近づけています。
米国とエルサルバドル:国際的な協調に向けた動き
米国証券取引委員会(SEC)は、エルサルバドルとの 国境を越えた規制のサンドボックス を模索していると報じられています。これが実現すれば、米国のライセンスを持つブローカーがエルサルバドルでデジタル資産のライセンスを取得し、非証券型トークンの発行を制御された環境でテストできるようになります。この動きは、かねてから求められてきた「国際的な規制調和」のモデルケースとなる可能性があります。
米国初のクリプト関連法案が可決:ドル連動型ステーブルコイン規制の枠組みを整備
6月17日、米国では GENIUS法が超党派で可決され、米ドル連動型ステーブルコインに関する初の明確な国家レベルの規制枠組みが整いました。これは、連邦レベルでのライセンス制度、準備資産の要件、消費者保護などを導入する内容です。この法案の進行に伴い、 Circle や Coinbase はステーブルコイン事業を拡大。 Rippleは 米国での銀行ライセンス の取得を目指すなど、規制環境への適応が加速しています。
アジア太平洋:日本とシンガポールの明確な方向性
2025年、日本は引き続き先進的な規制フレームワークを進化させています。
先月更新された資金決済法では、円建てステーブルコインの発行は、厳格なライセンス制度のもとで、許可を受けた銀行、信託会社、登録済みの資金移動業者に限定されています。この制度設計により、海外の暗号資産取引所の破綻によるリスクの低減が図られています。
加えて金融庁(FSA)は、以下のような金融商品取引法(FIEA)の改正を提案:
- 暗号資産(仮想通貨)を「金融商品」に再分類(現在は「暗号資産」)
- 暗号資産の利益に対して、一律20%の税率を導入(現状は最大55%)
- 日本国内でのビットコインETFの承認制度
これらは2026年初頭に国会提出予定で、成立すれば日本のクリプト市場のアクセス性が大きく広がる可能性があります。
企業動向としては、 SBI や みんなの銀行といった金融機関がステーブルコインを活用した決済システムを構築中。手数料の削減や中間業者の排除、決済処理の迅速化が進んでいます。
ただし、ステーブルコインの普及と並行して、複雑化するマネーロンダリングの手法も進化しており、AML/KYCやトランザクション監視などの技術的対策、国際的な協調が不可欠です。例えば、開発者は以下のような機能を組み込む必要が出てくるでしょう:
- 特定のホワイトリスト済みステーブルコインコントラクトに限定して利用できるよう設計されたスマートコントラクト
- 取引監視やホワイトリスティングを含む、マネーロンダリング対策(AML)および本人確認(KYC)機能の実装が必須とされること
こうした背景を受け、日本ではコンプライアンス対応に特化したレイヤー1ブロックチェーン Japan Smart Chainなどの新規プロジェクトも立ち上がっています。Japan Smart Chainの詳細については、 最新のブログをご覧ください。
シンガポールでは、シンガポール金融管理局(MAS)が日本同様、ライセンスを基盤とした「革新と厳格な規制の両立」型モデルを採用。カストディ、AML/KYC、取引監視といった要件を重視しつつ、技術革新も支援しています。
中国と香港:禁止と野心の狭間で
中国本土では暗号資産の多くが厳しく禁止されていますが、中央銀行デジタル通貨デジタル人民元(e-CNY)の開発は継続中。ただし国内外での利用率は低迷しています。
一方で、中国の大手EC企業 JD.com やアリババ は、中国人民銀行 に対し、香港での「オフショア人民元担保型ステーブルコイン」の承認を求めてロビー活動を展開中。
JD.com と アント・グループは 、8月1日に発効する 香港のステーブルコインに関する新しい規制の枠組みを活用して、まず香港ドルペッグのステーブルコインを発行する予定です。
8月1日施行予定の香港のステーブルコイン規制枠組みを活用し、まずは香港ドル連動型ステーブルコイン発行を目指しており、国際決済における米ドル優位に挑む可能性があります。
この動きにより、アリババや JD.com で販売する中国の小規模なサプライヤーは、海外の顧客から香港ドルまたは人民元のステーブルコインでの支払いを受け入れることが可能になるかもしれません。
なお、2025年5月時点では、SWIFTの国際決済に占める人民元の割合は、米ドルが48.46%であるのに対し、わずか2.89%でした。

出典: SWIFT
EUとIMF:統一基準の台頭
EUでは、暗号資産規制の統一枠組み「MiCA(暗号資産市場規則)」が施行されました。これにより、以下の領域でEU全体に共通のルールが適用されます:
- 標準化されたトークン分類
- クリプトサービスプロバイダーのライセンス制度
- 消費者保護の義務化
また、 国際通貨基金(IMF )は、各国に対し共通のスタンダードを採用するよう呼びかけ、リスク管理の優先を訴えています。IMFの主張は明快です:「バラバラのルールは抜け穴とリスクを生む」。今後の世界的トレンドは、明確性の向上・高い基準・投資家保護の強化にシフトしています。
開発者の課題:Web3プロジェクトをどう“未来対応”させるか
開発者にとって、規制の不明瞭さは最大の障害の一つです。法域ごとに異なる規制は、ローンチを遅らせ、貴重な開発リソースを浪費させます。例えば、カナダで合法なものが米国では違法、EUでは部分的にしか許可されていないことも。
越境型アプリケーションを構築するチームにとって、コンプライアンスの迷路は悪夢のような存在です。違反のリスクは重大で、罰金だけでなくプロジェクトの終了にもつながります。コストは金銭的なものだけではなく、失速、開発リソースの浪費、精神的な負担も大きな痛手です。
そこで問いかけます:まだ書かれていない「明日のルール」にどう備えますか?
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